ハムスターは、低温下で冬眠(擬似冬眠)する習性があることが知られていますが、飼育環境下で冬眠させることには危険が伴うため、冬眠させない温度管理と注意が必要です。このページでは、「ハムスターの冬眠防止対策と寒さ対策」についてご紹介しています。
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ハムスターは、自分の体温の調節が苦手なため、環境の温度にとても敏感で影響を受けやすい動物です。とくに冬は、気温が10℃以下になると、冬眠(擬似冬眠)に入ってしまう可能性が高くなります。
そして、いったん冬眠状態に入ると、冬眠から覚める際の体温調節がうまくいかずに、そのまま死んでしまうことも少なくありません。
そのため飼育環境下では、冬眠させずに冬を乗り切る冬眠防止対策と温度管理が必要になります。
後でご紹介するように、ゴールデンハムスターとジャンガリアンハムスターなどのドワーフ種とではそれぞれに違いがありますが、ハムスターは基本的に気温が10℃を下回る環境に置くと冬眠(擬似冬眠)に入ることが知られています。
いうまでもなく、ハムスターの冬眠(擬似冬眠)は自然環境に適応するために身につけたすばらしい能力のひとつですので、冬眠することそれ自体が問題というわけではありません。
問題なのは、飼育環境によっては、冬眠中、あるいは冬眠から覚醒するときの体温調節がうまくいかないと、「ハムスターが冬眠からうまく目覚めることができなくて死んでしまうことが多い」ということです。
飼育環境下のハムスターは、より安全な飼育を考える上では、ケージの温度管理、湿度管理に気をつけて、冬眠させないことが重要と言えるでしょう。
そのため、冬の間は、飼い主さんが留守の間も、ハムスターが快適に過ごせる温度(室温)を保っておくことや、寒さを乗り切るために必要な栄養のある充分な食事を与えることが大切です。
とくに寒さが厳しくなると、体力や免疫力も低下するので、毎日の健康チェックも欠かさず行っておきましょう。
もしも、冬になってハムスターの体温が低い、呼吸が浅い、ずっと寝てばかりいるといった様子の変化に気づいたら、冬眠に入ろうとするサインかもしれませんので、ハムスターの顔だけが出るように両方の手のひらで包み、飼い主さんの体温で回復させます。
場合によっては、こうした応急対策でも回復しないこともありますので、とにかくハムスターの様子がおかしいと感じたら、ハムスターを温かく保温しながら獣医さんを受診することも心に留めておきましょう。
すでにご紹介しているように、野生環境のハムスターは、種類によっても違いますが、寒い冬を擬似的な冬眠で乗り切ります。
ゴールデンハムスターの場合は、気温が10℃を下回ると、擬似冬眠に入りますが、ずっと眠り続けるわけではなく時々起きて活動することから「巣ごもりに近い冬眠状態」ともいえます。
一方、ジャンガリアンハムスターなどのドワーフ種は、気温が下がると体温を下げて眠りにつく「日内休眠」をとることが知られています。
いずれにしても、ハムスターは、一般的に気温が15℃を下回ると動きが緩慢になり、さらに10℃以下になると体温が下がり、呼吸が浅くなって擬似的な冬眠に入ります。
飼育環境によっては、冬眠中、あるいはい覚醒時の体温調節がうまく行かずにそのまま死んでしまうこともあり、飼育環境下で冬眠させることには大きな危険が伴います。
「幸せなハムスターの育て方(岡野祐二著・大泉書店)」によると、一般にハムスターに適した温度は「18℃〜25℃」、湿度は「40%〜60%」で、ケージに温度計と湿度計を設置して、一年を通じてこの範囲の温度と湿度を保つことが大切であることが書かれています。
冬になると飼い主さんたち人間も寒いので室内暖房をしますが、人が室内で感じている温度と床の上に置いたハムスターケージ周辺の温度とでは、かなり違うこともありますので、できるだけケージ内の温度を確認できるようにケージの中に温度計を設置しておきましょう。
同様に、水槽タイプ(ケースタイプ)のハムスターケージは、中と外の温度と湿度が大きく違うことがあるので、ケースの中に温度計を設置して温度管理をしておきましょう。
ちなみに、温度・湿度管理にはエアコン、もしくはオイルヒーターなどのように部屋全体の空気を温めることができる暖房器具を使用するのがもっとも効果的です。また、ハムスターのケージだけを温めるのであればペットヒーターを使用する方法もありますが、やはり部屋の空気そのものの温度や湿度を設定して管理できるエアコンがハムスターの環境温度・湿度を管理する上では最適といえます。
マンションなどの断熱性の高い住宅や、冬の冷え込みが比較的少ない住宅であればペットヒーターの使用のみでもハムスターに冬を温かく過ごさせることも可能ですが、そうでない場合はエアコンなどで部屋全体を暖かくしたうえで、ペットヒーターを併用するなど、ケージが置いてある部屋の環境や条件合わせた適切な温度管理が大切です。
冬の寒さがそれほど厳しくない地域では、ペットヒーターを使用し、床材を厚くして断熱効果をもたせることで寒さをしのぐことができます。
厚く敷いた床材は、ハムスターが寒く感じた時に自分で潜り込んで暖まることができる点でも効果的です。寒さが厳しくなる夜間は、エアコンの併用も検討してみてください。
また、ペットヒーターを使用する場合は、必ず一度試運転をして、どのくらいの温度になるのか確かめておきましょう。その上で、ケージの外にヒーターを敷いて、ケージを毛布や断熱シートで覆うことでケージの中を温かくすることができます。
ペットヒーターは、ケージの底の全面に敷いてしまうと、ハムスターが暑いと感じた時の逃げ場がなくなるので、巣箱などの下にあたるケージの外の一部の底面にだけ敷いておき、暑いと感じた時にヒーターを敷いていない場所に逃げられるようにしておきましょう。
寒さが厳しくなると、ハムスターは、食欲や体力、免疫力が低下します。ハムスターの体温と体力を維持するために、他の季節よりも少し食事の量を増やし、高カロリーの種子類の副食も適量を食べさせてあげましょう。
○当サイトの出典及び参考書籍:幸せなハムスターの育て方 [ 岡野祐士 ](大泉書店)/かわいいハムスター飼い方・育て方 [ 田向健一 ](西東社)/小動物の飼育情報満載!スモールペット飼育ハンドブック(緑書房)ほか
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